2006年06月09日

ナワシロイチゴ (2) ビロードの中に宝石ひとつ

この記事は続きです。最初の記事はこちら(←クリック)です。
今回の主役は‥
ナワシロイチゴ (苗代苺) 別名サツキイチゴ(皐月苺)
バラ科キイチゴ属

私が出会ったのは‥千葉県 5,6月 草地
千葉県評価:保護留意
ナワシロイチゴ花1枚.jpg
今日の一枚はこれです。ビロードのような輝きを持った萼片の中に宝石がひとつ。この花は花びら(花弁)と萼片の、色と材質?のコントラストが美しいと思うのです。
 萼片は裏に隠れて、花弁が美しいのは普通ですね。萼片が花弁と同じように美しい花はあります(ユリ科、アヤメ科など)。花弁をなくして萼片が花弁の変わりに美しい花もあります(カザグルマなどキンポウゲ科)。でも萼片は萼片、花弁は花弁、それぞれ個性を出して且つ、全体として美しい花はなかなかないのでは?
 
  それでは、お花について見ていきましょう。
ナワシロイチゴつぼみ.jpg
1.つぼみについて
 上の画像はつぼみです。つぼみの下にも托葉が2枚ありました。それと、萼片の先はやっぱり小さな葉っぱがありましたよ(^^♪『ハマナシ』と同じですね。『ハマナシ』の記事はこちら(←クリック)です。
ナワシロイチゴつぼみ2.jpgナワシロイチゴ花1.jpg
 上の画像は花開く、いやいや萼片が開いていく画像です。画像はサムネイルなので、クリックすると拡大します。これを見るとよくわかるのですが、つぼみの状態から花弁は立ったままです。つまり花弁は、萼片が開いてもつぼみのときと同じ状態で満開のときを迎えるのです。
ナワシロイチゴつぼみ3.jpgナワシロイチゴつぼみ4.jpg

 萼片はいっせいに開いていくものばかりではありませんでした。左上はちょっと覗いてみようかな(^^♪。右上はヘルメット?画像はサムネイルなので、クリックすると拡大します。
 
2.花について
 萼片が開いたところで、お花の説明を。
ナワシロイチゴ花仕組み1.jpgナワシロイチゴ花仕組み2.jpg

 花が満開?の状態では萼片は反り返ります。萼片と花弁はいずれも5枚。花弁は萼片と萼片の間に配置されています。『ヘビイチゴ』と同じですね。『ヘビイチゴ』の記事はこちら(←クリック)です。

 花の匂いは?鼻を近づけないと香りません。匂いはとてもおもしろいと感じました。バラ特有の匂いというよりは‥なんと言ったらいいか、そう、バニラの甘〜い香りといったらいいのでしょうか。少し鼻につく香りです。一度かいでみてくださいねるんるん
 さて、一番の特徴はやはり花弁ですね。花弁は開かずに、立ったまです。それと、花の上に見えているのは雌しべです。雄しべは花弁の隙間から見えますが、雄しべの先の葯は花弁の先からは出ていません。この雄しべの葯について他の花を見てみましょう。

ナワシロイチゴ雄しべ1.jpgナワシロイチゴ雄しべ2.jpg
 左上の花では花弁と花弁の隙間から雄しべの葯が1本だけ覗いています。また、右上の花では雌しべと一緒に雄しべの葯も花弁の先から顔を出しています。右上の花は花弁の色が薄くあせているので、どちらかというと、花も後半のような気がします。
ナワシロイチゴ+カミキリ1.jpgナワシロイチゴ+カミキリ2.jpg
 さて、虫はこの花のどこに魅力があるのでしょう。観察した当日は残念ながら蝶や蜂がおらず、出演を了解してくれたのはツヤケシハナカミキリ?だけでした。ハナカミキリの仲間は花粉や蜜が好物です。どこにあるのか見ていると、左上は花粉を食べている様子です。花弁と花弁の間に隠れているので顔を突き出して食べているようです。蜜は雄しべの付け根でした。と撮影をしていると、にらまれちゃいました(^^♪。
 
3.花の後
 満開の後はどうなるのでしょう。下の画像はサムネイルです。クリックすると拡大します。
ナワシロイチゴ花後1.jpgナワシロイチゴ花後4.jpg
 上の画像のように、花弁は最後まで開かずに落ちてしまいました。花弁がなくなると雄しべがはっきり見えますね。

 

4.ちょっと考えてみました。
 『ナワシロイチゴ』はなぜ花弁を立てたままなのでしょう。図鑑には書いていなかったので、勝手に(^_^)考えてみました。花弁を立てたことによる特徴は上にも書きましたが、花開いた当初は雄しべが花弁の裏に隠れているということです。つまり最初は雌しべのみが外に見えていることになります。ここから3つの考えを。
(一つめひらめき) 
 これは雌しべの成熟する時期と雄しべの成熟する時期を意識的に変えているのでは?と考えてみます。花は遺伝子の多様性から同じ花の花粉との受粉(自家受粉)を避けて他の花の花粉との受粉を優先したいと考えています。ところが、普通の花には雄しべも雌しべもついているわけですから、自家受粉の危険性はあるわけです。そこで、花によっては同じ株の花粉では受精しない仕組みを持っているものもあるそうですが、他に雄しべと雌しべの成熟時期を変える花があります。私が気づいた花としては、夏の高原を飾るヤナギランと秋の代表的な花ゲンノショウコです。いずれも花が開くとまず雄しべが花粉を出します。その後、雌しべの先が開くといった感じです。初めはゲンノショウコの花ってなんか違うのがあるなと思ったところから気づきました。「身近な植物から花の進化を考える」には他にホタルブクロが紹介されていました。ところが、『ナワシロイチゴ』は雌しべが先に思えるので、ゲンノショウコなどとは逆ですね。「写真で見る植物用語」という本には雌しべが先に成熟する花として、オオバコ、スズメノヤリ、セイバンモロコシが紹介されていました。あれ?いずれも風で花粉を運ばせる風媒花でした。確かに、雌しべが先に熟す花だと、花粉を食べに来る虫には人気ないよなあ‥。だから虫に花粉を運ばせる虫媒花は雄しべが先に熟すのかな。そうすると、『ナワシロイチゴ』も虫媒花なので、この考え方はだめかなあ。
(二つ目ひらめき
 雄しべは成熟しているけれど、隠している。すると、『ナワシロイチゴ』に来る虫たちは食べ物である花粉を得るためには、花弁をどけるかその中に顔を突っ込むなどちょっとした工夫が必要になります。その作業をやるときにもともと体についていた別の花の花粉が雌しべの先につく。といった工夫をしているという考えはどうでしょう。つまり、雄しべの花粉に虫がたどり着く前に、ひと手間かけさせることにより、自然と先に雌しべに虫の体を触れさせるというわけです。この考えが成り立つには、本当に虫、特に花が来てほしいと思っているハナバチたちがそういう風に花で行動するのかを見る必要があるのですが、残念ながら、私が出会った日はハナバチは止まっていませんでした。上で載せたツヤケシハナカミキリのような小さい虫ではいずれにしてもだめですね〜。
(三つ目ひらめき
 今まで出てきたバラ科の花と比べて『ナワシロイチゴ』の花の特徴は、花弁が開かないことのほかに、花が比較的小さく、花弁も小さいことも挙げられます。さて、花弁の大きな役目は、虫にここに花があるよ!というアピールだと思います。花弁が小さいと広げるよりは、まとめたほうが虫に対してわかりやすいアピールになるという考えです。さあて本当でしょうかね?虫に聞かなきゃわからないか(+_+)。とりあえず、花弁が開いた花をご覧に入れますので、皆さんはどちらがアピールポイントが高いと思いますか(^^♪。
ナワシロイチゴ花開く.jpg
 =^-^=うふっ♪もちろん右上の花は、私が花弁を付け足した画像です(^_^;)。私個人の感想では、左上の花弁をまとめて立たせたほうが、他の花と見た目が違うので、それだけで虫に対するアピールになると思いますよるんるん


 さあ、どれなんでしょうね。とここまで書いておいてなんなんですが、『ナワシロイチゴ(1)』の記事にトラックバックくださった、かえで☆さんのナワシロイチゴの記事(←クリック)を拝見していたら、花の開きかけの時期から雄しべの葯が見えている花の画像が載せてありました。あれれ、いままで考えていたことは‥。

結局どれでもなく単に『ナワシロイチゴ』の趣味の問題?もしご存知の方がいらしたら、教えてください。
 

 『ナワシロイチゴ』は他のバラ科の花と違うと書いてきましたが、図鑑「樹に咲く花」を見ていたら花弁を開かない花は同じバラ科でも他にもありました。私のリンク集で紹介させていただいているmotoさんのホームページ「下を向いて歩こう」(←クリック)では、エビガライチゴが紹介されています(2006/6/9時点)。ナワシロイチゴと同じような考えを持ったお友達もいるんですね。
ナワシロイチゴ花後3.jpg
 最後に問題?画像です。上の花たちは見るからにもう花弁が散った後です。あれ?あんなに反り返っていた萼片がまた元に戻って閉じている??そういえば、同じバラ科の『ヘビイチゴ』(←クリック)でも同じような現象がありましたね。『ナワシロイチゴ』もおなじように、果実が熟すまでは萼片が閉じているのでしょうか?同じキイチゴ属の『クサイチゴ』(←クリック)を見ていた時は気づきませんでしたが、どうなのでしょうね。
 じつは、実の画像は過去に撮影しているのですが、味見るんるんの結果を忘れてしまったので、味見できたときに、また続きを書いてみようと思います。
 次回は『ナワシロイチゴ』の花いろいろです。

posted by ふらり at 22:30| 千葉 ☀| Comment(11) | TrackBack(0) | 初夏の花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ナワシロイチゴ此れも難しいお花ですね、ただ単なる可愛いお花としか見ていなかったのですが、追求していくと奥の深いお花ですね、
どちらが目立つかと言うと右です。でも可愛さは左ですね、自分好みでは左かな、
(虫も同じではないでしょうか?)
先日ナワシロイチゴを見かけたのですが、お花は有りませんでした。

コメント2度も二つ入れてしまって失礼致しました。パソコン初心者ですので・・
Posted by おとと at 2006年06月10日 00:03
ナワシロイチゴは匍匐して栄養繁殖もするらしいですが、これと花が開出しないことと何か関係があるでしょうか。
Posted by onjo at 2006年06月10日 18:51
ナワシロイチゴの花は好きで今まで何度も写真を撮っていますが、ふらりさんの様に考えたことがなかったので、目からウロコです。香りもあったのですね〜
今度嗅いでみます!^m^

昨年撮った実の写真で、大きな実が一粒だけのものがあって不思議だな?と思っていましたが、受粉に成功したのが一つしかなかったという事でしょうか?
Posted by のんママ at 2006年06月11日 01:02
ありがとうございます。ナワシロイチゴはデジカメで撮影しだしてから、好きになりました。不思議とかわいいのです。私も左が好みです!コメント二つはぜんぜん気にしていませんよ。(^_^)
Posted by ふらり(おととさんへ) at 2006年06月11日 20:17
ありがとうございます。栄養繁殖するのですか。気づきませんでした。つる性なので確かにありうるのかもしれません。といいつつもあんなに魅力的!な果実を実らせるので、種でも増やそうとしているに違いありませんね。
Posted by ふらり(onjoさんへ) at 2006年06月11日 20:20
ありがとうございます。匂いかいでみてくださいね!私は花は見た目だけでなく、匂いも味?も気になります。特に高い木の花はまったく気づかないのですが、においでふと立ち止まって上を見上げると花が!なんてことがよくあるんです。
ひとつだけの実!是非みたいですね〜。のんママさんのおっしゃるとおり、受粉に成功したのがひとつだけだったのでしょう。
Posted by ふらり(のんママさんへ) at 2006年06月11日 20:23
ふらりさん、こんばんは。
詳細なレポ、楽しく読ませていただきました。
ナワシロイチゴの花びらが雌しべの先だけをだして、包んでいる姿、おもしろいですよね。
私は、どこで聞いたのか見たのか忘れてしまいましたが、なんとなく、できるだけ自家受粉してしまうのを避けるため…だと解釈しています。
自家受粉は他家受粉に比べ、遺伝的によくない確率が高いそうですね。
自分の雌しべが受粉した後に、自分の雄しべが花粉を出せば、自家受粉を避けられるわけです。
だから、ナワシロイチゴの場合、先に出ている雌しべに他の株(花)の花粉をつけてもらってから、自分の雄しべを花びらの間から出すのかなぁ…と。
他の花でも、咲いたばかりの花の雄しべに花粉を包むように葯がついているのも自家受粉をできるだけ避けるためらしいですね。
Posted by moto at 2006年06月14日 23:44
失礼しました。
自家受粉のこと、すでに書かれていましたね。
うっかり見逃していました。
削除の仕方がわからないので、このままにしてしまいます。
Posted by moto at 2006年06月15日 13:32
花を開かせてしまうとはすごい!(笑)開き過ぎでパチンコのチューリップのようで縁起が良さそう!
でも私は淑女のような開かない花に一票かな?
Posted by しら at 2006年06月15日 20:43
ありがとうございます。
やはり自家受粉を避けるためでしたか。motoさんもそうお考えなら私も自信がもてます!それにしても他のバラ科の花は、そんな工夫はないように思いますが、ナワシロイチゴなどだけ、たまたま花弁が開かないことが有利になったんでしょうかね〜。
それにしても、バラ科のように上を向いて咲く花で、雄しべも雌しべもたくさんあると、自家受粉を防ぐにも苦労しますね。
Posted by ふらり(motoさんへ) at 2006年06月15日 20:58
ありがとうございます。
花を咲かせたのは遊びで〜す。画像編集ソフトでちょちょっとやってみました(^^♪。
私も開いていない花に1票!
Posted by ふらり(しらさんへ) at 2006年06月15日 21:06
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